【先生の指導法に納得がいかない!?】担任の先生が“はずれ”だった!先生のタイプ別、親がとるべき対応とは②
前回は、えこひいきする先生やお友達感覚の先生など、「はずれ先生」にみられる困った態度への対応について述べました。
しかし、「はずれ先生」とは言動や態度だけで判断できるわけではありません。態度がどんなに良い先生でも、勉強やしつけの指導法が合っていなければ、その子どもにとっては「はずれ先生」となってしまいます。
態度は無意識でやってしまっていることもあるかもしれませんが、指導法となると先生もそれなりの信念を持っているはずなので、そう簡単には改めてはくれないでしょう。
そこで、今回は担任が「はずれ先生」になってしまった時、自宅での子どもへのフォローアップについて詳しくアドバイスしていきたいと思います。
【イラスト・たはらともみ】
担任の先生が、「悪しき平等主義」だったら…
クラスの子ども全員に平等に愛情をかける先生。一見、素晴らしい先生のように思われがちですが、全員が同じ到達地点にゴールすることを目標としている場合は少し厄介です。
そういう先生は、一定の基準を元に評価をします。たとえば「100点をとって立派だね」や「全部正解してえらいね」などその基準に合えば褒めてもらえますが、正解できない子どもは褒めてもらう体験がなかなかできません。
さらに、二言目には「しっかり・ちゃんと・がんばって」の連呼。この言葉は先生の中に「ちゃんとできて当たり前」という文化があるからです。
自分の子どもがうまくできない時、他の子どもと同じようにできることを強要されると親にとっては辛いものがありますね。それは子どもも同様です。
そこで、せめて家庭では友達や兄弟姉妹と比べないであげてほしいのです。どんな子どもでも少しずつ成長はしています。しかし、いつも優秀な子どもを基準にしていると、そんなわずかな成長に気づいてあげられません。
「褒める」ということは「認める」ということです。どんな状態でも子どものあるがままを認めてあげなければ、子どもはのびのび育たなくなってしまいます。
学習面で褒める材料が少なかったら、「クラスで背が一番高い」「休み時間、誰よりも一生懸命遊んでいる」など健康面や生活面に目を向けてみてはいかがでしょうか。きっとわが子の伸びている部分を見つけることができるはずです。
本当は、このような視点を先生側も持ってくれているとうれしいのですが。
担任の先生が「真っ赤に直したがる添削の鬼」だったら…
たとえば国語のテストで、まるで虫眼鏡でチェックしているかのように、厳密にとめ・はね・はらいを真っ赤に添削する先生。こういう先生は、国語の教科書の手本通り文字を書けていないと許せない完璧主義者なのです。
もちろん、子どもに字を教える時は、正しい字体をきちんと教える必要があります。しかし、まだ文字を書き始めて数年しか経っていない子どもを厳しく採点しすぎるのはいかがなものでしょうか。細かく直せば直すほど、子どもは書くことがどんどん嫌いになってしまうからです。
こういった先生に採点されて真っ赤になってしまった答案用紙を渡されて、「今度は間違えないように頑張ろう!」なんて気持ちになる子どもは一人もいません。テストが嫌で勉強へのやる気を失ってしまったら、元も子もないですよね。
そこで、もし子どもが真っ赤に直された答案用紙を持って帰ってきたら、まず「直されているけれど、頑張ったわね。」とプラスになる言葉をかけてあげてください。先ほどの国語のテストだとしたら、下手な字の中でも一番ましな文字を取り上げて、褒めてあげましょう。
子どもをはじめ、人間は過ちを直されるより、できている箇所を褒められるほうが、がぜんやる気になります。まずは評価できる部分は褒めてあげ、その後はしっかりテストの復習もするよう促してください。
一方で、細かい部分を直す先生は、相当な時間をかけて添削をしています。1枚1枚の作文、漢字テストを採点するのにエネルギーを注いでくれているのです。熱意がないより、熱意がある先生の方がうれしいですよね。テストの採点でも努力を惜しまないという点で、先生のことも少し見直してみてはいかがでしょうか。
【イラスト・たはらともみ】
担任の先生が「いつも怒っている人」だったら…
褒めることなく叱って伸ばすポリシーを持つ先生だった場合、子どもは辛い学校生活となってしまいます。
脳は叱られてもエンジンがかからない仕組みになっているので、叱られる毎日が続くとモチベーションが下がり続けます。
先生が厳しすぎる場合、子どもが帰ってきたら十分フォローしてあげることが大切です。
「なんでいつも忘れ物するんだ!」と学校でひどく叱られた後に、家でも「また忘れ物して!ダメな子ね!」と同じように叱られたら、子どもはますます落ち込みます。
「明日は忘れないようにね」と優しく注意するぐらいがよいでしょう。
このように、学校で傷ついた傷口に、家庭で塩を塗る行為は害あって益なしです。
反対に、親が世界中の人を敵に回しても子どもの味方であったり、全てを受け止めて認めてあげることで、子どもは必ずやる気になります。
しかし、いくら子どもの味方になってあげるとしても親がやってはいけないことが二つあります。
一つ目は、子どもの前で「先生は厳しすぎるよね」と先生を非難すること。
口が裂けても子どもの前で担任の悪口を言ってはなりません。親が先生を軽視する発言をすると、子どもも先生に対して同じ見方をしてしまうからです。
そうなると、学校でも先生を批判的な目で見たりするなど「先生の言うことを聞こう」という気持ちを持たなくなってしまいます。
二つ目は、先生に叱られないよう親が子どもを助けることです。
たとえば忘れ物を学校まで届けに行くといった行為です。
子どものためと思ってやっているのかもしれませんが、どのような子どもに対しても決してためにはなりません。
大雑把な子どもの場合、過保護に親が届けることにより、忘れ物に注意するという意識が働かなくなります。
“忘れ物をしても届けてもらえるからいいや”と思うようになり、永遠に忘れ物グセが直りません。
一方で、几帳面な子どもだった場合、わざわざ親が届けに来てしまうことによって「死んでも忘れ物をしてはならない」という強迫観念になってしまう恐れがあるのです。
学校で先生が何でもかんでも厳しくしてしまう分、親は子どもに対して正しい対応を心がけるようにしましょう。
「はずれ先生」の態度や考え方は、裏返せばやってはならない親の態度でもあります。
「はずれ先生」への対応を通して、親自身も子どもに対する自分の態度を見直してみるきっかけにしていただければ幸いです。
●著者プロフィール●
立石美津子(たていしみつこ)
子育て本著者・講演家
20年間学習塾を経営、現在は著者・講演家として活動中。自閉症児の母。『一人でできる子が育つテキトーかあさんのすすめ』『はずれ先生にあたったとき読む本』『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』など著書多数。
http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/
●書籍情報●
『保育園・幼稚園・小学校・塾…「はずれ先生」にあたったとき読む本』
立石美津子・著/青春出版社・刊
ISBN:978-4-413-03915-4
定価:本体1300円+税
http://www.seishun.co.jp/book/15335/
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