誰もいない地下駐車場にたった一人残されて。【夫婦トラブルは突然に③】 by Michika

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【夫に不満を感じるきっかけとなった出来事】

 

そんななか思い出したのは、前年の夏、私の友人達と行ったグループ旅行のこと。

 

そうだ。

 

あの時も慣れない友人の車で、山道の運転に酔った娘が、チャイルドシートで嘔吐したんだ。

そして、やっぱり隣にいた私が少し浴びてしまい、服が汚れた。

 

 

あの時確か…

同乗していた友人がすぐに他の車にも連絡してくれて、走っていたのは田舎道だったけど、みんなで着替えを買えそうな店を一生懸命探してくれて…

無事に服を買った後、今度は車の中を簡易更衣室にして着替えさせてくれたっけ。

 

 

 

 

まだみんな独身で子どものトラブルには慣れていないはずなのに、完璧な対応だったな。

 

車を汚しちゃったのに、気にしないで、あなたは悪くないと諭されたな。

 

本当に素敵な友人達だよなぁ〜今更ながら。

 

…でも、その間、夫だけが何もせずに見てるだけだったっけ… 

 

「みんなにお礼くらいちゃんとしてよ!」

 

って私が怒って、やっとありがとうって言ってくれたんだっけ。

 

……。

 

あの時はそんなだったけど、さすがにあれで学習したし、今回は大丈夫だよね。

 

彼も大人なんだし。

 

うん。

 

 

【大人になったと思っていた夫の現在は…】

 

背中はぐっしょり濡れてしまい、臭います。

とてもじゃありませんが、このまま人前に出たら迷惑なんてものではないでしょう。

 

あの時と同じように、まずはとにもかくにも着替えなければ。

 

むしろお店に入ることもはばかられますが、緊急事態なので謝ってでも入れていただくしかなさそうです。

 

当時はまだスマホはなく、娘を抱っこしていたのでガラケーで探すこともできませんでした。

 

私「洋服買えそうな店…この辺にはなさそうだよね。ちょっと道逸れて、探してもらっても大丈夫?」

 

夫「え?」

 

私「ん?」

 

夫「なんで服?」

 

なんでって…あ、運転してるから、被害状況が把握できてないのか。

 

私「娘の〇〇で背中びっちょりだからさ。ちょっと着替えないと外出れないわ。去年の旅行の時より酷い。」

 

夫「服屋なんか行ったら、遅くなっちゃうじゃん。」

 

え?

 

 

 

 

「俺、明日仕事だし。」

 

え え え え え

 

「とりあえず俺と娘で行ってくるよ、海。」

 

え え え え え え え え

 

私、連れてってもらえないの?

 

娘の海デビュー、

見せてもらえないのおぉぉ…⁉︎

 

そもそも自分が勝手にこんな遠くまで連れて来たのに、自分の都合で早く帰りたいからって、ゲ○まみれの嫁を放置して自分だけ遊びに行くだと…???

 

【たった一人…】

 

ボーゼンとしながら窓の外に目をやると、砂浜に面して、屋外駐車場が広がっていました。

 

『あ、でもこれなら車の中から娘の様子が見えるかも!』

 

一縷の望みが見えたのも束の間、車は駐車スペースのあるエリアを通り過ぎました。

 

おいおいおい。

 

私「今の駐車場…ダメだった?あそこなら車の中から外見えそうだったよ。私も娘の海デビュー、見れるよ。」

 

夫「うん。ちょっと入り方分からなかった。」

 

私「……。」

 

するとまた駐車場の表示が現れました。

 

夫「ここに入れちゃうよ?」

 

夫がハンドルを切ります。

 

私「え!ちょ、ちょっと待ってよ…!」

 

夫が選んだ、そこは…

海水浴場の様子を全く伺えそうにない、地下駐車場でした。

 

今まで何軒もあった駐車場。

全て平置きで、少なくとも海は見える立地だった。

 

なのに、よりにもよって地下駐車場に入れる??

 

その駐車場はとても広く、ほぼ満車に近い状況でびっしり車が停まっていましたが、当然みんな地上に出かけているので、人気はありません。

とても静かです。

 

夫は車から降りると娘を抱き上げ(本人の服は汚れていなかった)

夫「じゃ、行ってくるよ?」

と、こちらを気遣うでもなくさっさと地上へ向かっていきました。

 

私「ちゃんと娘のこと見ててよ?目、離さないでよ?」

 

お願いしましたが、聞こえたかどうか分かりません。

 

静まりかえった地下駐車場にひとりポツンと残された私。

 

背中がとても冷たい。

 

そして臭い。

 

この状態ではどこにも行けないので、ただここで待っているしかできません。

 

誰もいない地下駐車場の車の中で、ボーゼンとしました。

 

 

 

でも、ジッとしているとますます辛さが増してくるように感じました

 

タオルはないけど、お尻拭きはあったので、それで汚れた後部座席を拭き始めました。

まだ新車だったので、汚れが残らないように頑張りました。

 

ひたすらひたすら拭きました。

 

もうこれ以上は無理そうかな、と思われるところまで拭いたけど、相変わらず駐車場は静まりかえっています。

 

外に出てみましたが、賑やかな地上の様子は気配すら感じられません。

 

あ、車の後ろの方、ちょっと汚れてるな。

 

何もすることがない私は、今度は車の外側をできる限りきれいに拭き上げました。

 

涙がこぼれました。

 

 

そして、もう1度思い出しました。

 

去年の友人たちとのグループ旅行のこと。

 

宿に場所見知りした娘が普段はしない夜泣きをしてしまい、ひたすら娘を抱っこして廊下を歩き続けたこと。

 

娘の泣き声よりも、酔っぱらうと大きくなるうちの夫のいびきがうるさくて眠れなかった友人達が、ロビーで時間を潰していたこと。

 

それに対して私が謝ると、誰一人こちらを責めることなく、娘と私を労ってくれたこと。

帰りの車は、夫とは別の車に乗るように言われ、その車の中でやさしい言葉をかけてくれたこと。

 

 

 

私が夫の事で本音を言えるよう、わざと車を離してくれたんだよな。

 

あの深夜のロビーで、みんなで相談してくれたのかな。

 

みんなのやさしさに、その場は我慢したけど、帰ってから泣いたな。

 

あぁ…みんなに会いたい。

 

みんな、あの時は大丈夫って言ったけど、やっぱり大丈夫じゃないかも!!!

 

心の中で叫びながら、自分の惨めさに涙しながら、車がきれいになるまでひたすらひたすら拭き続けました。

 

次回へ続く。

 


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