【自閉症の子供の言葉の遅れについて】改善法と日々の心がけ

   

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漫画:moroさん

自閉症の子供は、他者とのコミュニケーションが苦手です。
多くの場合、それは言葉の発達の遅れが原因となっています。
言葉は自己を表現したり他者と自分を繋いだりする大事な手段であり、言葉がうまく操れないために集団生活で不便な思いをしている子供はたくさんいます。
今回は、そんな自閉症の子供の言葉の遅れや改善方法についてお話ししたいと思います。

■言語の発達について

一般的に、言葉はどう成長していくのでしょう。
まずは、年齢ごとに言葉の発達の流れを見ていきたいと思います。

1歳半頃まで

この頃までに、意味のある単語を話しはじめるようになります。
「ワンワン」「ブーブー」「ママ」といった自分が興味をもった事柄を、指さしとともに口にします。

2歳頃まで

単語の数が300個ほどに増え、「ワンワン、かわいい」といった二語文も見られるようになります。
2歳の終わり頃には、ほとんどの子供が二語文を喋れるようになっています。

3歳頃まで

単語が800個近くになり、「ボク、いぬ、飼いたい」などの三語文が言えるようになります。
また「昨日」「明日」などの時間の流れを理解するようになり、徐々に「ボクは、いぬが、飼いたい」といった風に助詞を使い分けるようになります。

4歳頃まで

爆発的に単語の数が増え、会話もかなり上手になってきます。
「もしも」「~だから」といった複雑な文章も言えるようになり、舌足らずな発音も徐々に見られなくなってきます。

■言葉の発達の遅れが指摘されるのは、どんな時?

上記のような一般的な言語の発達段階をもとに、1歳~1歳半程度以上の言葉の遅れが見られるのなら、いわゆる言語発達遅滞と診断されるようです。1歳半頃になっても発語が全くなかったり、3歳頃になっても二語文が出なかったりした場合などがそれに当たります。

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■原因は?

言葉が遅れているからといって自閉症と決まったわけではなく、他にもさまざまな要因が考えられます。
まずは子供の様子をじっくりと観察し、原因を見極めましょう。

●聴覚に問題がある

聴覚機能に問題があり他者が発した言葉を吸収出来ないので、言語発達が遅れている可能性があります。
もしも聴覚障害があるなら、治療や新たなコミュニケーション方法の学習が必要になってきますので、一度医師に診察してもらうことをおすすめします。
お母さんの声に反応しなかったり、大きな物音がしても平然としていたりするようであれば、早めに対処するようにしてください。

●言葉が出るのが遅い性質

ただ単に言葉の発達が遅れているケースもあり得ます。
他のことに夢中だったり、喋る必要性を感じていなかったりするのが原因で、女の子よりも男の子によくあるパターンです。
自閉症の特徴である感覚過敏やこだわりが見られず、こちらが話したことがちゃんと伝わっているようであれば、焦らずに様子を見ましょう。

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●言葉が理解出来ていない

知能の発達の遅れにより、言葉が理解出来ていないのかもしれません。
また、コミュニケーション能力の問題により、他者との対話の大切さを感じることが難しいケースもあります。
どちらの場合も、自閉症や発達障害などの先天的な脳機能障害が原因の可能性を秘めています。
こちらの言葉がけに全く興味を示さなかったり、話していても視線が合わないようであれば、注意をしてください。

■家で出来る改善法

それでは、どうやったら言葉の遅れは改善するのでしょうか?
専門機関で療育を受けるのが一番ですが、なかなかいい機関が見つからなかったり、時間的な都合がつきにくかったりするお母さん達のために、ここでは日常生活の中で取り入れることが出来るトレーニング方法と心がけをご紹介したいと思います。

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●コミュニケーションに工夫をする

今まで以上に、たくさん話しかけてあげましょう。
子供が関心を示したことには「お人形、かわいいね」などとすかさず興味を見せます。
その際、一語一語を子供の目を見てはっきり発音するように心がけましょう。
絵本の読み聞かせも有効です。
寝る前の1時間は絵本タイムに決め、出来るだけ多くの本を読んであげましょう。
また、一方的なコミュニケーションの手段であるテレビやスマホなどはあまり見せないようにしてください。
見せるにしても一日30分までというように時間を決め、親子で対話をする時間を優先するようにしてください。

●部屋を整頓し、規則正しい生活をする

自閉症の子供は、一度に多くの物事を理解するのが苦手です。
部屋がごちゃごちゃしていると意識が散漫になってしまい、お母さんの発する言葉に集中出来なくなります。
部屋はきちんと片付け、見た目をすっきりとさせるように心がけてください。
ものの場所も定め、『おもちゃ』『ようふく』などのように引き出しにひらがなを書いた紙を貼っておくこともおすすめします。
どこに何があるか分かる生活は子供を安心させますし、ひらがなの明記による文字の習得にも繋がります。
また、日々の生活も時間をきっちりと定め、夜は遅くとも9時には寝かせるようにしてください。
規則正しい生活と充分な睡眠により、脳の活性化を促しましょう。

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●絵カードを使って単語を引き出す

自閉症の子供には、聴覚からよりも視覚からの情報の方が伝わりやすいといわれています。
『りんご』『くるま』などの単語や、『悲しい』『嬉しい』といった感情を示す絵の描いてあるカードを使って、言語の習得トレーニングをしてみましょう。
トレーニングだからと気負うのではなく、一日の流れを絵カードで表し習慣として日常生活に組み込む方法も、ぜひ試してみてください。

●自然と触れ合い、運動させる

体を動かすことは、脳機能の成長を促進させます。
また、野外で自然の匂いを感じ、風を肌で感じるなどの五感を刺激する体験も貴重です。
屋外でも「ちょちょがいるね」「遊び終わったらアイスクリームを食べようね」などとたくさん話しかけてあげてください。

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自閉症と診断されても、トレーニング次第で驚くほどに言語能力が伸びることもあります。
言葉を上手に操れるようになれば、コミュニケーションの困難さを存分にカバーすることが出来ます。
きっと、親子間のやりとりやお友達との遊びが円滑になり、毎日が楽しくなることでしょう。
そのためには、療育や日々の心がけが重要です。
ですが、どんなに毎日頑張っても、目に見える変化はすぐには出にくいものです。
「こんなに話しかけて絵本も読み聞かせているのに、どうして・・・」という悔しい思いを抱えるお母さんも、おそらくいらっしゃるでしょう。

それでも、日々の積み重ねは確実に子供の頭の中で活きています。

目先のことではなく遠い将来を見つめ、子供に接するようにしてください。


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